税務調査を法的に視る
著者 | 木山 泰嗣 著 |
---|---|
書籍カテゴリー | その他全般(税務関係) |
刊行日 | 2014年8月28日 刊行 |
ISBN | 978-4-7547-4374-1 |
ページ数 / 判型 | 178ページ / B6判 |
定価 | 税込1,528円(本体1,389円+税10%) |
本書の内容
平成23年の国税通則法の改正により、税務調査に法の目が張り巡らされることになった。税務調査は今後、国税当局、納税者の双方にとって、より理性的で法的な議論に進化していくものと思われる。「法律に強い税理士になる」の姉妹書ともいえる本書は、「法的に調査を視る」ための思考法を体得してもらうための入門書。
主要目次
はじめに
第1章 税務調査と法律の関係
1 法律の解釈で調査に対応する
法律は武器?/税務調査にも法の目がある?/法律に基づく行政/根拠を考えるクセ/法律は使うもの?/解釈という問題/解釈という武器
2 判断基準を明確にして「あてはめ」を
法律の解釈とは?/いろいろな解釈/定義を明らかにする/判断基準を考える/あてはめをする/税務調査に活かす
3 当局が考えている判例の確認
課税要件を確認する/必ず判例を調べよう/射程内か射程外か/射程外とされた判例/射程の議論/税務調査での対応
4 判断基準を明確にして「あてはめ」を
「あてはめ」とは?/法的三段論法を行うのは、だれ?/判断する人の視点/思考過程を検証する/「あてはめ」の前提になるものは?/裁判での事実認定
5 納税者にある立証責任
事実認定とは?/裁判のルール/真実でなくても「事実」になる?/争いがある場合/立証責任/ノンリケット/税務調査では?
6 重要な客観資料
立証責任といっても、実際には...?/積極的に反証活動を行うことが必要/人の発言の扱い/客観的な証拠がなによりも重要/客観資料とは具体的には何か?/点と線?
7「当事者の認識」が問題
よく問題になるのは当事者の認識?/聴取が重視される?/客観証拠もある/認識はどこにあらわれるか?/対応策について考えると.../調査段階で注意すべき点は?
8 税務調査は任意でできる行政調査
税務調査の法律上の根拠はどこにある?/法律上の根拠は質問検査権/質問検査権の法的性質は?/任意調査の意味/質問検査の範囲/必要性要件の検討
9 任意の意味
質問検査権の規定が国税通則法に移行された?/質問検査権の規定が変わった?/適用時期と今後の税務調査に対する影響/必要性要件のチェックを具体的に意識しよう/対応の視点は「調査の必要性」で常に考える/任意の意味
10 事前通知には例外規定がある
税務調査の事前通知/事前通知とは?/例外規定もある?/適法・違法の問題がでてくる可能性がある?/どのようにチェックをすればよいか?/事前通知の内容とその方法
11 終了時の手続と更正の請求
調査終了時の手続/更正決定等をすべきと認められない場合/調査結果内容の説明/修正申告の勧奨/説明および書面の交付(修正申告の勧奨の場合)/更正の請求
12 法律の目を意識する
税務調査の法律問題/法律の目という視点/発想や視点でも、武器対等に近づく/意識をすることが重要/事実をどのように取り扱うか?/文章力をきたえよう
第2章 改正国税通則法と税務調査
13 国税通則法改正の影響
平成23年国税通則法の改正の影響は?/事前通知の実際/無予告調査/調査終了における手続
14「調査通達」の趣旨目的
国税通則法第7章の2(国税の調査)関係通達の制定について/「法律に基づく行政」が憲法の大原則/調査通達の趣旨目的/手続が法定化された税務調査の実施
15 税務調査の意義を通達で明らかに
税務調査の意義/法的視点はどこにあらわれているか?/税務調査を担う者に何が欠けていたのか?/法的三段論法のメカニズムを確認しよう
16 明確化された「法的三段論法」
調査通達に示された調査の意義をよく読んでみる/かっこ書きに書かれた言葉の意味を考える/法的三段論法とは?/税務調査に「法的三段論法」を使うことの意味
17 専門家に対して強まる法的視点の要請
法解釈はどのように行われるものか?/条文はどのように適用されるものか?/もし法解釈をしなければどうなるか?/条文の文言の意味内容と判定基準を明らかにする
18 判例の射程
最高裁判例は下級審判決とは意味が違う?/最高裁判決があっても適用の有無が問題になる?/判例の射程/昭和56年判決を外した東京高裁平成25年判決
19 法律の文言の解釈
使える判例がない場合はどうすればよいか/法律の文言はどのように解釈をするものか?/自然な日本語として読んでみること/法の趣旨を考えてみる
20 調査段階でも主張は書面で提出 116
法解釈の方法(まとめ)/真の法解釈は明らかにされない?/どのように法解釈の主張がなされるべきか?/書面活用の意義
21 文章で主張をまとめる意義
文章で主張をまとめる意義/文章にする場合は練り上げることが必須?/正確で、読みやすく、わかりやすい文章を書く/求釈明を活用する
22 不利な事実認定を回避
税務訴訟では「事実認定」の争いはあまりない?/事実には争いがなく法的評価をめぐって争いになる場合とは?/だからといって事実認定を軽視してよいわけではない?/事実認定で重要な視点
23 課税要件がないことを示す証拠の収集
事実認定は課税できるかできないかを決する?/事実認定で注意すべき重要な視点(積極的な証拠収集活動)/立証責任はないのに?/反証のポイント
24 質問から推測される課税の問題を把握
何が問題になるかは税務署職員が決める?/事前の対策だけでは予測できないのが税務調査/防御をするためには課税要件事実の意識が重要/事実をねつ造するのではなく、真実が認定されるように尽力する
第3章 行政手続法と国税通則法
25 行政手続法と国税通則法との関係
一般法と特別法の関係/行政手続法と国税通則法の関係/行政手続法は国税通則法によって修正されている/白色申告については理由附記が不要だとされていた理由
26 課税処分と公定力(執行不停止の原則)
行政法の基本概念を知る/公定力をイメージするためには?/具体的にはどういう効果が働くのか?/執行不停止の原則と例外
27 処分後に納税者がとりうる対応・(不服申立て)
税務調査でこじれる場合もある/納得がいかない場合は修正申告をすべきではない?/まずは原処分庁に対して異議申立てを行う/審査請求で取消しをねらうこともできる/平成26年の行政不服審査・国税通則法改正について
28 処分後に納税者がとりうる対応・(税務訴訟)
処分の取消しを求めるのが税務訴訟のメイン?/民事訴訟の一つだが「特別のルール」が適用される/税務訴訟は勝てない? 勝てる?/最高裁での積極判断が続いている?
29 税務調査と行政指導
調査通達が規定する「調査」の意義から考える/「調査」に至らないものは行政指導?/行政指導を定めた法律は「行政手続法」/行政手続法と国税通則法の関係を具体的に考える
脚注