税務調査を法的に視る(改訂版)

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著者 木山 泰嗣 著
書籍カテゴリー その他全般(税務関係)
刊行日 2016年8月18日 刊行
ISBN 978-4-7547-4416-8
ページ数 / 判型 180ページ / B6判
定価 税込1,528円(本体1,389円+税10%)

本書の内容

平成23年の国税通則法改正が施行されてから、少し時間が経過しました。同改正により税務調査手続が法定化され、「法律による行政」あるいは手続的保障原則(租税法律主義の具体的な要請)といった、憲法の理念から本来行われるべきであった「法定な税務調査」が行われる時代が到来したのです。本書は、そのような改正の機会を契機として、国税当局も「法的な税務調査」にシフトしてくるので、納税者側に立つ税理士の先生がこれに対応できる技術を身につける必要があることを説かねばならないと考え、しかし「わかりやすい」だけでなく「使える」手引書をご提供したいと思い、筆をとったものでした。今回改訂をするにあたり、初版刊行後に変わった部分には手を入れました。平成26年の行政不服審査法改正(異議申立てが廃止され、不服申立てが一元化されました)や、不服申立てや訴訟の統計データ、判例などです。

主要目次

はじめに

第1章 税務調査と法律の関係
1 法律の解釈で調査に対応する
法律は武器?/税務調査にも法の目がある?/法律に基づく行政/根拠を考えるクセ/法律は使うもの?/解釈という問題/解釈という武器
2 判断基準を明確にして「あてはめ」を
法律の解釈とは?/いろいろな解釈/定義を明らかにする/判断基準を考える/あてはめをする/税務調査に活かす
3 当局が考えている判例の確認
課税要件を確認する/必ず判例を調べよう/射程内か射程外か/射程外とされた判例/射程の議論/税務調査での対応
4 判断基準を明確にして「あてはめ」を
「あてはめ」とは?/法的三段論法を行うのは、だれ?/判断する人の視点/思考過程を検証する/「あてはめ」の前提になるものは?/裁判での事実認定
5 納税者にある立証責任
事実認定とは?/裁判のルール/真実でなくても「事実」になる?/争いがある場合/立証責任/ノンリケット/税務調査では?
6 重要な客観資料
立証責任といっても、実際には...?/積極的に反証活動を行うことが必要/人の発言の扱い/客観的な証拠がなによりも重要/客観資料とは具体的には何か?/点と線?
7「当事者の認識」が問題
よく問題になるのは当事者の認識?/聴取が重視される?/客観証拠もある/認識はどこにあらわれるか?/対応策について考えると.../調査段階で注意すべき点は?
8 税務調査は任意でできる行政調査
税務調査の法律上の根拠はどこにある?/法律上の根拠は質問検査権/質問検査権の法的性質は?/任意調査の意味/質問検査の範囲/必要性要件の検討
9 任意の意味
質問検査権の規定が国税通則法に移行された?/質問検査権の規定が変わった?/適用時期と今後の税務調査に対する影響/必要性要件のチェックを具体的に意識しよう/対応の視点は「調査の必要性」で常に考える/任意の意味
10 事前通知には例外規定がある
税務調査の事前通知/事前通知とは?/例外規定もある?/適法・違法の問題がでてくる可能性がある?/どのようにチェックをすればよいか?/事前通知の内容とその方法
11 終了時の手続と更正の請求
調査終了時の手続/更正決定等をすべきと認められない場合/調査結果内容の説明/修正申告の勧奨/説明および書面の交付(修正申告の勧奨の場合)/更正の請求
12「法律の目」を意識する
税務調査の法律問題/法律の目という視点/発想や視点でも、武器対等に近づく/意識をすることが重要/事実をどのように取り扱うか?/文章力をきたえよう

第2章 改正国税通則法と税務調査
13 国税通則法改正の影響
平成23年国税通則法の改正の影響は?/事前通知の実際/無予告調査/調査終了における手続
14「調査通達」の趣旨目的
国税通則法第7章の2(国税の調査)関係通達の制定について/「法律に基づく行政」が憲法の大原則/調査通達の趣旨目的/手続が法定化された税務調査の実施
15 税務調査の意義を通達で明らかに
税務調査の意義/法的視点はどこにあらわれているか?/税務調査を担う者に何が欠けていたのか?/法的三段論法のメカニズムを確認しよう
16 明確化された「法的三段論法」
調査通達に示された調査の意義をよく読んでみる/かっこ書きに書かれた言葉の意味を考える/法的三段論法とは?/税務調査に「法的三段論法」を使うことの意味
17 専門家に対して強まる法的視点の要請
法解釈はどのように行われるものか?/条文はどのように適用されるものか?/もし法解釈をしなければどうなるか?/条文の文言の意味内容と判定基準を明らかにする
18 判例の射程
最高裁判例は下級審判決とは意味が違う?/最高裁判決があっても適用の有無が問題になる?/判例の射程/昭和56年判決を外した東京高裁平成25年判決
19 法律の文言の解釈
使える判例がない場合はどうすればよいか/法律の文言はどのように解釈をするものか?/自然な日本語として読んでみること/法の趣旨を考えてみる
20 調査段階でも主張は書面で提出
法解釈の方法(まとめ)/真の法解釈は明らかにされない?/どのように法解釈の主張がなされるべきか?/書面活用の意義
21 文章で主張をまとめる意義
文章で主張をまとめる意義/文章にする場合は練り上げることが必須?/正確で、読みやすく、わかりやすい文章を書く/求釈明を活用する
22 不利な事実認定を回避
税務訴訟では「事実認定」の争いはあまりない?/事実には争いがなく法的評価をめぐって争いになる場合とは?/だからといって事実認定を軽視してよいわけではない?/事実認定で重要な視点
23 課税要件事実がないことを示す証拠の収集
事実認定は課税できるかできないかを決する?/事実認定で注意すべき重要な視点(積極的な証拠収集活動)/立証責任はないのに?/反証のポイント
24 質問から推測される課税の問題を把握
何が問題になるかは税務署職員が決める?/事前の対策だけでは予測できないのが税務調査/防御をするためには課税要件事実の意識が重要/事実をねつ造するのではなく、真実が認定されるように尽力する

第3章 行政手続法と国税通則法
25 行政手続法と国税通則法との関係
一般法と特別法の関係/行政手続法と国税通則法の関係/行政手続法は国税通則法によって修正されている/白色申告については理由附記が不要だとされていた理由
26 課税処分と公定力(執行不停止の原則)
行政法の基本概念を知る/公定力をイメージするためには?/具体的にはどういう効果が働くのか?/執行不停止の原則と例外
27 処分後に納税者がとりうる対応①(不服申立て)
税務調査でこじれる場合もある/納得がいかない場合は修正申告をすべきではない?/訴訟の前に不服申立て/審査請求で取消しをねらうこともできる/平成26年の行政不服審査・国税通則法改正について
28 処分後に納税者がとりうる対応②(税務訴訟)
処分の取消しを求めるのが税務訴訟のメイン?/民事訴訟の一つだが「特別のルール」が適用される/税務訴訟は勝てない? 勝てる?/最高裁での積極判断が続いている?
29 税務調査と行政指導
調査通達が規定する「調査」の意義から考える/「調査」に至らないものは行政指導?/行政指導を定めた法律は「行政手続法」/行政手続法と国税通則法の関係を具体的に考える


脚注

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