裁決事例集(第102集)
著者 | 大蔵財務協会 編 |
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書籍カテゴリー | 裁判例・裁決例関係 |
刊行日 | 2016年11月21日 刊行 |
ISBN | 978-4-7547-2373-6 |
ページ数 / 判型 | 356ページ / A5判 |
定価 | 税込3,259円(本体2,963円+税10%) |
本書の内容
国税不服審判所では、審査請求事件の裁決のうち法令の解釈、適用に関し、先例となるべき判断を含んだもの又は他に参考となるべき重要な判断を含んだもの、事実認定に関し他の参考となるべき判断を含んだものを公表しており、その公表された裁決事例を全て収録。今回の第102集は、平成28年1月から平成28年3月までの公表裁決を収録。
主要目次
〈平成28年1月~3月〉
一 国税通則法関係
(納税の猶予)
1 納税の猶予不許可処分をした原処分庁の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったと認めることはできないとした事例(納税の猶予不許可処分・棄却・平28.1.13裁決)
(重加算税 隠ぺい、仮装の意図)
2 無申告加算税に代えてなされた重加算税の賦課決定処分につき、事実を隠ぺいし、その隠ぺいされたところに基づき法定申告期限までに申告書を提出しなかったものとは認められないとして、同処分を全部あるいは一部取り消した事例(平成24年3月相続開始に係る相続税の①更正処分及び無申告加算税の賦課決定処分、②重加算税の賦課決定処分・①全部取消し、②一部取消し・平28.3.30裁決)
(重加算税 その他)
3 重加算税の額の基礎となる税額は、過少申告加算税の基礎となるべき税額から、その税額の基礎となるべき税額で隠ぺいし、又は仮装されていない事実に基づく税額を控除した税額となるところ、控除後の税額は零となることから、過少申告加算税の額を超える部分の金額は違法であるとした事例(平22.7.1から平23.6.30までの事業年度の法人税に係る重加算税の賦課決定処分・一部取消し・平28.2.4裁決)
二 所得税法関係
(不動産所得 必要経費 その他)
4 土地の賃貸に当たって行われた造成工事等の費用を不動産所得の必要経費に算入することはできないとの原処分庁の主張を排斥した事例(平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・一部取消し・平28.3.3裁決)
(同業者率を用いた推計の合理性 推計の柱の金額(数量)に異動があった事例)
5 原処分庁が推計の基礎とした売上原価の額に、接待交際費及び家事費などの額が含まれていることから、これらの金額を補正すべきとした事例(①平成23年分及び平成24年分の所得税の各更正処分及び無申告加算税の各賦課決定処分、②平24.1.1から平24.12.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに無申告加算税の賦課決定処分・①一部取消し、②棄却・平28.3.10裁決)
(長期譲渡所得及び短期譲渡所得の課税の特例 対象となる資産)
6 不動産の賃貸事業を目的とする民法上の組合の出資持分及び当該持分に係る組合員たる地位の譲渡による所得について、組合財産のうち現金及び預金に対応する部分を除き、組合財産を構成する土地建物等の譲渡に係る所得として、分離課税の長期譲渡所得に該当するとした事例(平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・一部取消し・平28.3.7裁決)
(居住用財産の譲渡所得の特別控除 居住用財産の譲渡と認めなかった事例)
7 請求人が譲渡した土地上にある家屋は、請求人が真に居住の意思をもって客観的にもある程度の期間継続して生活の本拠としていたとは認められないから、租税特別措置法第35条の適用はないとした事例(平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却・平28.3.16裁決)
(譲渡所得に係るその他の特例)
8 上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例について、連続して確定申告書が提出されていないため適用することはできないとした事例(平成24年分の所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分(平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をあわせ審理)、平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分・棄却・平28.3.7裁決)
三 法人税法関係
(役員給与 役員の範囲 みなし役員)
9 請求人の使用人について経営に従事していたとは認められず、みなし役員に該当しないとして処分の全部を取り消した事例(①平22.4.1から平24.3.31までの各事業年度の法人税の各更正処分、②平22.4.1から平23.3.31までの法人税に係る過少申告加算税の賦課決定処分、③平23.4.1から平24.3.31までの法人税に係る過少申告加算税の賦課決定処分、④平23.4.1から平24.3.31までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分(過少申告加算税の賦課決定処分をあわせ審理)、⑤平成22年7月から平成23年12月までの各期間分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及び不納付加算税の各賦課決定処分、⑥平24.4.1から平25.3.31までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分ほか・②⑤全部取消し、①③④一部取消し、⑥棄却・平28.3.31裁決)
(貸倒損失 その他)
10 請求人が債権放棄をしたとして計上した雑損失の金額は寄附金の額に該当するとした事例(平24.1.1から平24.12.31までの事業年度の法人税の更正処分及び無申告加算税の賦課決定処分・一部取消し・平28.2.8裁決)
(受取配当金の益金不算入の特例)
11 残余財産の分配に係るみなし配当の額の計算における資本金の額は、確定決算において資本金として計上された金額を意味すると解するのが相当であるとした事例(①平23.8.1から平24.7.31までの事業年度の法人税の更正処分、②平24.8.1から平25.7.31までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、③平24.8.1から平25.7.31までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却・平28.3.25裁決)
(移転価格税制)
12 国外関連者に対する貸付金利息について原処分庁が行った独立企業間価格の算定は相当であるとした事例(①平19.6.1から平25.5.31までの各事業年度の法人税の各更正処分、②平19.6.1から平20.5.31、平22.6.1から平23.5.31まで及び平24.6.1から平25.5.31までの各事業年度の法人税に係る過少申告加算税の各賦課決定処分、③平24.6.1から平25.5.31までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却・平28.2.19裁決)
四 相続税法関係
(財産の評価 評価の原則 その他)
13 米国e州f市に所在する不動産について、その時価をe州遺産税の申告に当たりe州税務当局により是認された鑑定価額により評価した原処分を相当と認めた事例(平成22年3月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平28.2.4裁決)
(財産の評価 宅地及び宅地の上に存する権利 各影響要因に基づく加減)
14 請求人らが相続により取得した土地は、財産評価基本通達24-4に定める広大地に当たるとして処分の全部を取り消した事例(平成25年6月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・全部取消し・平28.2.9裁決)
(財産の評価 宅地及び宅地の上に存する権利 各影響要因に基づく加減)
15 請求人らが相続により取得した土地の一部は、財産評価基本通達24-4に定める広大地に当たるとして処分の一部を取り消した事例(平成23年4月相続開始に係る相続税の各更正処分(各更正の請求に対してされた各再更正処分をあわせ審理)及び過少申告加算税の各賦課決定処分(各変更決定処分後のもの)・一部取消し・平28.2.29裁決)
五 登録免許税法関係
(課税標準 固定資産課税台帳価格によらない場合)
16 原処分庁が認定した登録免許税の課税標準たる土地の価額は、近傍類似の土地の適正な台帳価格を参考として合理的に算定されたものではないとして処分の全部を取り消した事例(平成26年11月登記により納付された登録免許税に係る還付通知をすべき理由がない旨の通知処分・全部取消し・平28.3.7裁決)
六 国税徴収法関係
(無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務 債務免除)
17 訴訟上の和解における停止条件付の支払義務の免除も国税徴収法第39条に規定する「債務の免除」に含まれ、他に特別の事情も認められないことからすると、同条規定の「債務の免除」があったということができるとした事例(第二次納税義務告知処分・棄却・平28.1.15裁決)