資産・事業承継対策の現状と課題

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著者 野村資産承継研究所 編
書籍カテゴリー 資産税関係
刊行日 2016年12月 7日 刊行
ISBN 978-4-7547-2383-5
ページ数 / 判型 624ページ / A5判
定価 税込4,584円(本体4,167円+税10%)

本書の内容

「資産・事業承継対策」といった場合、相続税の軽減策が注目されがちである。しかしながら、円滑な資産・事業の承継には、何をゴールと考えるのかを適切に整理した上で、相続税のみならず、会社法・民法等を踏まえて、総合的な対策を講じる必要がある。本書では、まず、総論において、資産・事業承継の現状と課題を説明するとともに、資産・事業承継の目的に適合する計画立案の手法を整理する。次に、各論において、資産・事業承継に関する税制および対策手法に関して、税法及び民法・会社法等の観点から個別具体的に詳解するとともに、その問題点を指摘する。本書は、資産・事業承継対策のための総合的な解説書であるとともに、実務の観点から問題点を指摘し、その解決方法を示唆する研究書である。

特色

資産・事業承継問題に対処するための税制・法制度の活用並びに解決方法を個別具体的に詳解!

主要目次

総 論

第1章 資産・事業承継の現状と課題
第1節 問題の所在
第2節 資産承継と税制
1 資産承継の実態と政策課題
2 税法上の規制と特例
第3節 事業承継と税制
1 事業承継をめぐる背景
2 事業承継と事業承継税制の意義
3 事業承継をめぐる主要な論点
4 事業承継税制の概要
第4節 資産・事業承継と財産評価(取引相場のない株式)
1 資産・事業承継と財産評価との関係
2 平成28年度税制改正大綱の検討事項
3 事業承継対策としての評価通達の見直し(沿革)
4 事業承継対策からみた評価通達上の論点
5 評価方法を見直すべき方向性
第5節 資産・事業承継と私法
1 租税法と私法との関係
2 会社の組織再編成
3 一般社団・財団法人の活用
4 種類株式の活用
5 信託の活用
6 その他の資産・事業承継対策

第2章 資産・事業承継の計画立案
第1節 序論
第2節 ゴールベースド・アプローチ
第3節 資産承継における一般的問題
1 個人のバランスシート構成上の問題
2 遺産分割上の問題
3 資産承継対策の策定と実行
第4節 事業承継の全体観
1 現状の把握
2 事業承継の方法及び後継者の確定
3 親族内承継の手順
4 自社株式承継における一般的な問題
5 自社株式承継対策立案の手順
6 自社株式移転方法の検討

各 論

第1章 資産承継対策(贈与税の総括)
第1節 資産・事業承継の意義
1 概 括
2 資産承継(資産移転)の態様等
3 事業承継に関する措置
4 贈与税の沿革・課税の根拠等
第2節 法務との接点(交錯)
1 対象財産などの範囲に関する差異(みなし贈与財産)
2 贈与の実行と法的問題顕在化のタイム・ラグ
3 贈与財産・特別受益に係る加算方法の差異
第3節 贈与税の全体像
1 暦年課税と相続時精算課税
2 各種特例について
3 相続税の課税を見据えて
第4節 相続税の課税価格への贈与財産の加算
1 概括(趣旨等)
2 具体的な加算方法
第5節 孫等に対する贈与特例の活用
1 概 要
2 留意点
第6節 「最適贈与金額」の検討
1 基本的な視点
2 試算例
第7節 結 語

第2章 小規模宅地等の課税特例
第1節 小規模宅地等の課税特例を取り巻く概況等
1 本章における検討
2 概 括
3 本特例の概要
第2節 個別通達に基づく措置(昭和50年6月)
第3節 措置法に基づく制度創設(昭和58年度税制改正)
第4節 特定同族会社事業用宅地等の適用要件の緩和(平成15年度税制改正)
第5節 特例適用要件の厳格化(平成22年度税制改正)
第6節 限度面積要件の引上げ等(平成25年度税制改正)
第7節 小括(第2節から第6節における検討の要点)
第8節 その他関連事項
1 三者関係(対象地の利用関係)
2 本特例の適用による減額効果の最大化
第9節 二つの課題に関する検討
1 生前事業承継者への特定事業用宅地等の適用
2 特定同族会社事業用宅地等における使用貸借による利用関係への適用
第10節 結 語

第3章 非上場株式に係る納税猶予制度
第1節 序 論
第2節 総 論
1 全体像の整理
2 適用関係の整理
3 贈与税の納税猶予(措法70の7)
4 相続税の納税猶予(措法70の7の2)
5 みなし相続(措法70の7の3)・みなし相続に係る納税猶予(措法70の7の4)
6 設例へのあてはめ
第3節 各論
1 適用要件等の全体像の整理
2 入口段階における適用要件等の整理
3 猶予中段階における整理
4 出口段階における整理
第4節 納税猶予制度の活用に向けて
1 納税猶予制度の検討課題の整理・活用可能性
2 納税猶予制度活用のための視点
3 納税猶予制度活用のための簡易フローチャート
第5節 納税猶予制度の課題
1 納税猶予制度の現状
2 制度の枠組みに関する課題
3 制度の個別的課題

第4章 事業承継の手法で解決を図る「空き家問題」
第1節 空き家解消は解決が難しい社会問題
1 空き家は大きな社会問題
2 止められない「空き家」化
3 空き家が抱える問題  
4 何が問題を大きくしているのか
第2節 空き家対策特別措置法
1 空き家対策法の施行
2 法の趣旨
3 空き家対策法が目指しているところは何か
4 「特定空き家」につき税制優遇措置が除外される
第3節 空き家売却特別控除の特例
1 空き家の発生を抑制するための特例措置
2 空き家特例措置の適用要件
3 譲渡所得の特別控除
第4節 事業承継の手法での空き家解消
1 中小企業の事業承継の手法
2 空き家問題の根は深く、これを断つことは難しいこと
3 空き家問題はさまざまな問題が錯綜している
第5節 空き家解消のための提言
1 空き家問題解決に当たって考えるべきこと
2 事前解決型の「空き家再生プロジェクトチーム」の活用
3 事業承継と空き家解消の共通の視点
4 「M&A」を考える
第6節 民事信託を活用した空き家解消
1 民事信託の活用
2 汎用性のある信託スキームを示すことは難しいこと
3 信託での解決策

第5章 事業承継と組織再編成等
第1節 事業承継と組織再編成
第2節 同族企業のグループ内組織再編成実行時における留意点
1 税制適格要件①(「同一の者」の範囲)
2 税制適格要件②(無対価組織再編成における「一の者」)
3 税制適格要件③(50%超グループ内組織再編成における「事業性」)
4 税制適格要件④(個人に対する現物分配)
5 欠損金の使用制限
6 非適格現物出資による債権の受入額(デット・エクイティ・スワップ)
7 組織再編成におけるその他の留意点
第3節 組織再編成後の株式評価
1 組織再編成と株式評価
2 株主区分・評価区分の変更
3 資本金等の額の変動による配当還元価額への影響
4 類似業種比準価額の比準要素・純資産価額への影響
5 合併・分割後の類似業種比準方式の適用可否
6 新設型組織再編成を行った場合の評価方法
7 組織再編成後の純資産価額の計算
資料1 合併の適格要件の概要
資料2 欠損金引継制限/使用制限フローチャート
資料3 特定資産譲渡等損失の損金算入制限フローチャート

第6章 事業の譲渡とその手法
第1節 事業の譲渡手法と税負担
第2節 事業の売却手法
第3節 会社の全部事業の売却
1 会社の全部事業の売却手法
2 設 例
第4節 会社の事業の一部譲渡
1 事業の一部譲渡の手法
2 設 例
第5節 子会社事業の全部譲渡
1 子会社事業の全部譲渡の手法
2 設 例
第6節 おわりに
補論 債務超過である会社の事業の全部を売却する際の留意点
1 債務超過の会社の事業売却
2 設 例

第7章 信託を利用した事業承継
第1節 遺言を破る成年後見制度
1 「遺言の時代」
2 脆弱な遺言
3 遺言を破る「成年後見制度」
4 同じく遺言を破る後見制度支援信託制度
第2節 家産及び事業用資産を守る対策
1 任意後見契約の活用
2 法人の設立と財産の移転
第3節 成年後見制度から遺言を守る仕組み
1 任意後見制度の活用
2 後見制度支援信託制度を回避する手立て
3 後見制度支援信託によって遺言を無効にされない手段
第4節 家族のための民事信託の活用
1 家族のための民事信託
2 家族信託の実務的機能
3 最近における家族信託の活用方法
4 個人事業主の資産分離管理型信託のすすめ

第8章 資産・事業承継と遺留分
第1節 遺留分の意義と機能
第2節 遺留分権利者と遺留分の割合
1 遺留分権利者の範囲
2 遺留分の割合
第3節 遺留分額と侵害額
1 遺留分算定の基礎財産の範囲
2 遺留分算定の基礎財産の評価方法
3 相続債務の控除
4 遺留分額及び遺留分侵害額の算定 
第4節 遺留分減殺請求の対象
1 遺贈が複数存在する場合
2 贈与が複数存在する場合
第5節 遺留分減殺請求権の行使
1 遺留分減殺請求権の行使方法
2 減殺の効果
3 価額弁償
第6節 遺留分の消滅
1 遺留分の放棄
2 遺留分減殺請求権の消滅時効・除斥期間
第7節 経営承継円滑化法による遺留分の特例
1 経営承継円滑化法における除外合意と固定合意
2 除外合意又は固定合意を利用するための要件
3 実務での利用状況

第9章 種類株式を活用した事業承継
第1節 種類株式と支配権
1 議決権は経営権の法的な裏付け
2 一株一議決権の原則
3 種類株式による議決権と経済的な価値の分離
第2節 種類株式の導入
1 種類株式の導入に必要な手続
2 種類株式導入時の課税
第3節 種類株式の評価
1 議決権、拒否権の評価
2 同族株主の判定における無議決権株式の取扱い

第10章 非上場株式の議決権の集約
第1節 株式の分散と集約
第2節 経営の安定と議決権(法務)
1 議決権の重要性
2 株主総会の決議事項と必要な議決権
第3節 議決権を集約する方法(法務)
1 議決権の集約方法
2 他の株主からの任意取得(法務)
3 他の株主からの強制的取得(法務)
第4節 議決権の集約と税務
1 他の株主からの任意取得(税務)
2 他の株主からの強制的取得(税務)
3 各種買取手法による株主側の課税関係の相違
4 買取価格が時価と乖離した場合の取扱いの概要(税務)

第11章 資産・事業承継と生命保険
第1節 資産・事業承継と生命保険の概要
1 はじめに
2 生命保険契約に関する用語の定義
第2節 生命保険と資産承継・事業承継の関係
1 法人での生命保険の活用例
2 個人での生命保険の活用例
第3節 生命保険に関する裁判例
1 死亡保険金と遺留分の関係に関する裁判例
2 死亡保険金請求権と特別受益の可否に関する裁判例
3 満期保険金に係る一時所得金額から控除できる保険料の範囲に関する裁判例
第4節 生命保険に関する留意点
1 税制改正に関するリスク
2 保険の評価に関する留意点
第5節 まとめ

第12章 事業承継と役員退職給与
第1節 役員退職給与と株式の移転
第2節 役員退職給与の支給と株式の相続税評価額
第3節 「役員退職金」の損金算入
1 役員退職給与の法人税法上の取扱い
2 「退職給与」の該当性
3 「不相当に高額な部分」について
第4節 株式評価における留意点
1 株式評価額減少の条件
2 「類似業種比準方式」の適用
3 「利益の額」の減少
4 類似業種比準価額が下がるタイミング
第5節 おわりに

第13章 事業承継と従業員持株会
第1節 従業員持株会の活用にあたって
第2節 従業員持株会設立の目的
第3節 従業員持株会の形態及びその法的性質
1 持株会の形態
2 民法上の組合の法的性質
第4節 オーナー株主・会社にとっての従業員持株会
1 相続財産の圧縮効果
2 安定株主としての役割
3 法人税への影響
第5節 従業員が株主となることに対する留意点
1 会社支配権確保のための留意点
2 種類株式の活用のススメ
第6節 従業員持株会への株式の供給方法及び供給時の税務上の取扱い
1 オーナー株主及びその親族が従業員持株会に株式を供給する方法
2 第三者割当増資により従業員持株会へ株式を供給する方法
3 オーナー株主一族所有の資産管理会社から従業員持株会へ株式を供給する方法
4 法人の少数株主が従業員持株会へ株式を譲渡する場合
5 個人の小数株主等が従業員持株会へ株式を譲渡する場合
第7節 従業員持株会の日常の運営にかかる税務上の取扱いのまとめ
1 奨励金について
2 配当金について
3 持株会が保有する株式を譲渡した場合
4 退会の際の持分払戻しにかかる利益について
第8節 従業員持株会からの株式の回収方法及び回収時の税務上の取扱い
1 従業員持株会での払戻しが困難な場合
第9節 従業員にとっての従業員持株会
1 従業員にとっての持株会のメリット
2 従業員にとっての持株会のデメリット
第10節 人格のない社団として設立した場合の取扱いとの違い

第14章 事業承継と取引相場のない株式の評価
第1節 問題の所在
第2節 相続税法上の「時価」と評価通達
1 「時価」の意義
2 評価通達による評価とその法的性格
第3節 事業承継における評価通達の役割とその沿革
1 事業承継において評価通達が問題とされる事由
2 事業承継に関わる評価通達の改正(沿革)
第4節 事業承継対策における評価通達の機能と問題点
1 問題の所在
2 取引相場のない株式の評価方法
3 各評価方式の問題点と解決の方向性

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