最近の税務争訟XⅢ
著者 | 佐藤 孝一 著 |
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書籍カテゴリー | 裁判例・裁決例関係 |
刊行日 | 2017年6月22日 刊行 |
ISBN | 978-4-7547-2416-0 |
ページ数 / 判型 | 1016ページ / A5判 |
定価 | 税込5,297円(本体4,815円+税10%) |
本書の内容
最近の税務訴訟シリーズの続編。長年国税当局で税務訴訟に携わってきた著者の経験に基づき、注目すべき最近の判決及び裁決を選りすぐり<争点><ポイント><判決要旨>の形式に基づいて裁断機関の法的着眼点を紹介した一冊。今版では内容を厳選し74事例を掲載、また、既刊の判例を「総目次」「判示事項等索引」として巻末に掲載しています。
主要目次
第1 通則関係
1 課税処分の所轄庁
⑴ 更正処分及び重加算税賦課決定処分の所轄税務署長の認定(「事業所納税届出書」提出の有無)
2 納税申告の効力
⑵ 相続税の共同申告書に押印を欠いた者の納税申告と無申告加算税の賦課
3 納税義務の承継
⑶ 全遺産を原告以外の相続人に相続させる旨の遺言と原告が承継する被相続人の納税義務の範囲
4 更正の請求
⑷ 納税申告の基礎とした報酬の取得が不法行為に当たるとして損害賠償を命じた判決確定を理由とする更正の請求の当否
⑸ 商品先物取引における証券会社の不法行為を理由とする損害賠償請求訴訟の訴訟上の和解を理由とする更正の請求(通則法23条2項1号)の当否
5 重加算税
⑹ 取締役支店長が借名で行った不正取引に係る所得の帰属及び重加算税の賦課要件
⑺ 納税者(医師)の妻による「隠ぺい又は仮装」と重加算税等(医師政治連盟の会費、妻の気功講習の受講費等の必要経費性)
6 納税保証
⑻ 納税保証の成否、差押財産(債権及び預託株券共有持分)の帰属及び徴収権の濫用
7 国税の納付と代位
⑼ 租税債務に係る第三者納付の成否・租税債権の納付者への移転の是否
第2 所得税関係
1 納税義務
⑽ 外国会社が運航する遠洋鮪漁船の乗組員の住所地(居住者・非居住者)
⑾ 株式の譲渡と収入すべ時期―日本国籍を有する者と米国デラウェア州法を準拠法として設立された法人を当事者とする株式譲渡契約の効力(錯誤又は詐欺の成否)
2 所得区分等
⑿ 不動産賃貸事業を営む任意組合に対する出資持分及び組合員たる地位の譲渡と所得税課税(総合課税又は分離課税)
⒀ 民法上の組合に割り当てられた新株予約権の行使による新株の取得に係る経済的利益の所得区分等
⒁ 課税処分の無効及び税務職員等の指導等の違法を理由とする国家賠償請求、差押登記及び参加差押登記の抹消登記請求等(ストックオプションの権利行使益の所得区分)
⒂ 親会社から付与された譲渡等制限付株式(リストリクテッド・シェア)に係る経済的利益の所得区分及び権利確定時期
⒃ 麻酔科医師が手術等を施行した各病院から得た収入の所得区分(給与所得・事業所得)
⒄ メンタルクリニックの開業医がその傍ら行った服飾品レンタル業、顧問先企業における健康に関する講義等に係る所得の区分(事業所得・雑所得・給与所得)
⒅ 賃貸借契約の合意解約に因り取得した金員の所得区分(不動産所得・譲渡所得・一時所得)
⒆ 税理士業務を他の税理士に承継させるに伴い受領した金員に係る所得区分
3 必要経費
⒇ 更正処分取消判決に起因する還付加算金に係る雑所得の計算と補佐人に対する支払報酬の必要経費算入の可否
(21) 更正処分等が判決により取り消され、支払を受けた還付加算金に係る雑所得の計算と訴訟費用等の控除
4 課税の特例
(22) 確定申告書に添付された肉用牛売却証明書(措置法25条4項)の有効・無効
(23) 表題が「買取り等申出書」ではない書面及び共有者全員分の補償額を記載した書面の送付と共有者の一人である納税者の「最初に買取り等の申出があった日」(措置法33条の4第3項1号)
(24) 旧措置法40条1項(国等に対する財産の寄附に係る譲渡所得等の非課税)適用財産の譲渡を理由として改正法を適用した受贈公益財団法人に対する譲渡所得課税の適否
(25) 香港を本店とする特定外国子会社等の来料加工と所在地国基準の充足(措置法66条の6第4項又は措置法40条の4第4項の適用―「主たる事業」の判定)
5 損益通算
(26) 金融商品取引業者との外国為替証拠金取引に係る損失の損益通算の許否
6 寄附金控除
(27) 社会福祉法人設立のための寄付と所得税法78条2項3号該否
7 源泉所得税の徴収・納付
(28) 関係会社による給与等に係る源泉所得税の徴収・納付と給与等の「支払をする者」、源泉所得税を「納付した者」の認定判断
(29) 非居住者又は外国法人から国内不動産を譲り受けた者の源泉徴収義務と憲法29条1項・3項及び13条適合性
第3 法人税関係
1 収益等の帰属
(30) 会社の従業員らが関係業者から受領した手数料(バックリベート)の帰属
2 収益の額と計上時期
(31) タイ国所在の子会社発行の新株の額面価額による引き受けと法人税課税
(32) 有料老人ホームへの入居者から入居又は入居契約の更新に当たり受領する金員に係る収益の計上時期
3 減価償却費
(33) 構築物が存する土地の取得と前者に係る減価償却費の損金算入の可否
4 寄附金課税
(34) 出向元法人による出向者給与の負担(約50%相当額)と寄附金課税
5 交際費等課税
(35) マスコミ関係者等に対する遊園施設優待入場券の交付と交際費課税
6 同族会社等の行為又は計算の否認
(36) 合併会社による被合併会社の未処理欠損金額の損金算入(法人税法57条2項)と同法132条の2の適用の許否
(37) 分割法人が分割承継法人の発行済株式全部を譲渡する計画を前提とした新設分割と法人税法132条の2の解釈適用
7 課税の特例
(38) 法人税法50条1項の交換特例の明細書の添付及び「やむを得ない事情」の有無
(39) 診療所用建物の賃貸借と法人税法64条の2第3項1号にいう「準ずるもの」該否(更正の理由付記の適否)
(40) 便宜置籍船の所有者とするためパナマ共和国で設立された法人と法人税法11条又は措置法66条の6第1項の適用
(41) タックス・ヘイブン対策税制(措置法66条の6第1項)の日星租税条約7条適合性(適用除外要件の充足)
第4 消費税関係
1 課税資産の譲渡等
(42) 船舶の建造者が「留保対象トン数使用承諾書」を取得する取引等と課税資産の譲渡等
2 課税仕入と仕入税額控除
(43) 社会保険診療報酬等が公定価格とされ、消費税額相当額を転嫁できないにもかかわらず、仕入税額控除が認められないことの違憲を理由とする国家賠償請求等
(44) 賃貸用不動産(土地及び建物)の取得と「課税仕入れを行った日」
(45) 岩石及び砂利の価値に着目した土地の取得と仕入税額控除の可否
(46) 地方公共団体の委託業務の実施を目的として設立された法人が支出した諸費用の課税仕入の区分
第5 贈与税・相続税関係
1 贈与税の課税対象(みなし贈与)
(47) 納税者の被相続人からの関係会社及び納税者への資金移動と相続税法9条の適用
(48) 公益財団法人が寄附を受けた株式を譲渡し、譲渡代金を事業の用に供した場合と措置法40条2項の適用
2 財産評価
(49) 農地、宅地、家屋と一体性を有しない附属設備(私道供用地、植栽、専用庭等)の評価(利用単位、広大地補正、宅地造成費等)
(50) 広大地評価の可否(「開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるもの」、「区画形質の変更」該否)
(51) 賃貸借契約に基づき、他者所有地を合わせてゴルフ練習場敷地として利用されている雑種地の評価
(52) 山林及び立木の評価
3 連帯納付義務
(53) 連帯納付義務者の還付金等支払請求権の連帯納付債権への充当と徴収権の濫用等(相続税法34条1項にいう「受けた利益の価額」)
第6 徴収関係
1 納税の猶予
(54) 数年の売上利益の減少(通則法46条2項4号・5号該当)を理由とする納税の猶予許否
2 詐害行為の取消
(55) 滞納会社による所有不動産の代表取締役に対する売却、売却代金と借入金の相殺と詐害行為該否
(56) 詐害行為取消権による会社分割の取消し及び価額賠償請求の許否
3 第二次納税義務
(57) 滞納会社の預金口座から出金された金員の取得に係る第二次納税義務(徴収法39条)と現存利益の額
4 差押・取立
(58) 差し押さえた金銭の所有者の認定及び金銭差押処分の取消請求の適否
(59) 利息制限法を超過する利息の約定を定めた、先行及び後行の継続的金銭消費貸借契約に係る過払金請求権の差押え、支払請求と利息制限法に基づく引き直し計算
(60) 信託財産である土地に係る固定資産と信託財産でない家屋等に係る固定資産税を徴収するために土地及び家屋の賃貸借契約に係る賃料債権を差し押さえた処分の適否
(61) 差押時点で停止条件未成就(賃借物件の引渡し未了)の敷金及び保証金の返還請求権差押えの適否
(62) 将来発生債権譲渡後に譲渡禁止特約が付された債権を差し押さえた国の善意とその判断基準時
(63) 譲渡禁止特約付債権を差押えた国が譲渡の無効を主張することの許否
(64) 贈与事実の不存在を理由とする所有権移転登記抹消手続の承諾を抵当権者である国に求める請求の当否
5 公売・競売申立
(65) 公売広告、申込者決定及び売却決定の取消訴訟の提起及び続行停止の申立後の買受代金の納付と申立の利益の帰趨
6 配当・変更要求
(66) 被担保債権及び請求債権の損害金の競売申立書の記載誤りを理由とする配当表変更請求の許否
(67) 錯誤、誤記等により申立の範囲の記載を誤ったとして、真実の権利関係に即した配当表への変更を求める配当異議の訴えの当否
第7 不服申立・訴訟関係
1 原告(申告)適格
(68) 債権差押処分と同処分の取消しを求める第三債務者の原告適格
(69) 粉飾決算を理由とした減額更正の義務付けを求める訴えの適否
(70) 減額更正の義務付けを求める訴えの適否(通則法23条1項の憲法31条・14条適合性)
(71) 更正の請求の期間経過後に提起された減額更正の義務付け、不作為の違法確認の訴えの適否
(72) 居住用不動産の公売手続続行の停止を求める申立の当否
2 訴えの利益
(73) 贈与者の連帯納付義務を相続により承継した者が提起した、受贈者にされた贈与税の無申告加算税賦課決定の取消しを求める訴え、他の共同相続人にされた債権差押処分の無効確認を求める訴えの適否
(74) 相続税法改正による連帯納付義務の消滅と同義務に係る督促処分取消の訴えの利益の帰趨
総目次
判示事項等索引