民事信託を活用するための基本と応用
著者 | 成田一正 監修 / JPコンサルタンツ・グループ 編 / 石脇俊司 著 |
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書籍カテゴリー | その他全般(税務関係) |
刊行日 | 2018年3月27日 刊行 |
ISBN | 978-4-7547-4453-3 |
ページ数 / 判型 | 250ページ / A5判 |
定価 | 税込2,547円(本体2,315円+税10%) |
本書の内容
ここ数年、民事信託の活用に関する情報は、比較的容易に取得することができるようになりました。高齢な方の財産管理や相続・事業承継において民事信託の活用がその一つの方法となります。しかし現状ではまだ、誰もが簡単に民事信託を利用することができるレベルまで実務が進んでいない状況でもあります。
民事信託を安定させるためには、家族が関与する一般社団法人を受託者とすることが有効です。
平成30年度税制改正において、「非営利型以外の一般社団法人」について、親族で役員の多数を占める場合には、一般社団法人の役員の相続時に一般社団法人が有する財産についても相続税の課税対象となりました。
本書は、実務目線による経験に基づく情報を盛り込み、「非営利型の一般社団法人」を活用した民事信託における実務のポイントを整理し、わかりやすく解説します。
特色
● 本書における「民事信託の受託者となる一般社団法人」は非営利型の一般社団法人であり、「委託者の財産を所有」ではなく、「民事信託の受託者として信託財産を管理する」一般社団法人であり、平成30年の税制改正でも影響をうけず、大いに活用可能!
● 各専門家と実務において連携を取り、信託に関わる法務・税務の知識及び民事信託における実務のポイントを整理し、相続・事業承継対策を計画的に実施するためのポイントを解説!
● 実務が進んでいない状況の理由として、①信託の活用において経験豊富な専門家の数がまだ少ない ②金融機関等の支援が全国どこでも一様に得ることができない ③信託は法律行為のため一般には難しく思えてしまう ④もともと所有していた者のもとから財産が移転し所有者のものではなくなる ⑤一番難しい問題として財産管理の専門家でない家族等が受託者となる 等様々な課題や問題点を指摘し、対応策を提案!
主要目次
はじめに
第1章 相続・事業承継の実務に活用するために理解しておきたい信託の知識
Q1 なぜ信託が必要とされるのか?
Q2 信託とは? その仕組みや役割は?
Q3 相続・事業承継対策においてなぜ信託の活用が有効なのか?
Q4 信託の受託者の業務について。受託者は何をするのか?
Q5 民事信託とは?
Q6 信託銀行や信託会社の受託者と家族等が務める受託者はどのような点に違いがあるのか?
Q7 民事信託はなぜ必要とされるのか?
Q8 受託者が行う業務内容は民事信託と商事信託で異なるのか?
Q9 民事信託の課題・問題点とは?
Q10 民事信託の受託者が義務を怠るとどうなるのか?
Q11 民事信託の受託者が適正に業務を行っていくためにはどんなことに気をつければよいか?
Q12 家族等の受託者が行う信託事務を長期間にわたり安定させるにはどうしたらよいか?
Q13 個人が受託者の場合、何が問題となるのか?
Q14 個人受託者の問題点を解決するためにはどうしたらよいか?
Q15 株式会社等が民事信託の受託者となれるのか?
第2章 民事信託の受託者として一般社団法人を活用する際の実務
Q16 一般社団法人とは?
Q17 一般社団法人は民事信託の受託者になれるのか?
Q18 上場会社の株式の管理にも民事信託が活用されている?
Q19 一般社団法人の社員、理事を誰にするのがよいのか?
Q20 受託者としての一般社団法人の機関設計とは?
Q21 一般社団法人のガバナンスはどのように決定するのか?
Q22 ガバナンスの確保は一般社団法人ではなく信託監督人や受益者代理人を設置すればよいのでは?
Q23 一般社団法人のコストは?
Q24 民事信託の受託者でも一般社団法人が信託報酬を得ることができるか?
Q25 信託財産の分別管理の方法とは?
Q26 一般社団法人が受託者となる場合の実務上の懸念点は?
Q27 資産管理法人と信託の受託者である一般社団法人による資産管理はどのように違うのか?
Q28 民事信託の受託者となることを目的とする一般社団法人の定款はどのように記載すればよいか?
Q29 民事信託の受託者である一般社団法人を支援する者とは?
Q30 税理士が民事信託の受託者である一般社団法人をどのように支援するのか?
Q31 一般社団法人が受託者となることの課題やリスクはどのような点か?
第3章 受託者の財産管理の実務
1 信託設定時の受託者の信託事務
2 信託期間中の受託者の信託事務
3 信託終了時の受託者の事務(清算受託者の事務)
第4章 信託財産ごとに信託の仕組みを検討する
1 不動産を信託財産とする信託について
2 不動産を信託財産とする信託の事例
【事例1】代々にわたって承継してきた不動産を信託財産とする信託
【事例2】大型収益不動産を信託財産とする信託
【事例3】複数の収益物件を信託財産とする信託
【事例4】定期借地を信託財産とする信託(受益権複層化信託)
3 自社株(会社オーナーの株式)を信託財産とする信託について
4 自社株式を信託財産とする信託の事例
【事例5】相続時に自社株を後継者に速やかに承継する信託
【事例6】財産権(自益権)を後継者に生前に移転する信託
【事例7】親族で代々にわたり株式を承継する信託
【事例8】未熟な後継者を支援する信託
【事例9】少数株主対策の信託
第5章 一般社団法人を受託者とする信託を税理士が支援する
1 信託税務の基本について確認する
2 民事信託において税理士の支援が必要となること
3 信託の仕組みを検討する際の税理士の支援
4 信託開始後の支援
第6章 民事信託の実務における現状の課題を解決するために
1 現時点における課題の整理
2 民事信託における課題を解決するために
おわりに