租税と法の接点 ~租税実務におけるルール・オブ・ロー~
著者 | 佐藤 修二 著 |
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書籍カテゴリー | その他全般(税務関係) |
刊行日 | 2020年12月15日 刊行 |
ISBN | 978-4-7547-2840-3 |
ページ数 / 判型 | 176ページ / 四六判 |
定価 | 税込1,760円(本体1,600円+税10%) |
本書の内容
租税訴訟の増加、その背後にある経済取引の複雑化・国際化とこれらに対する課税当局の対応の困難化を背景に、近年、課税当局は「法的観点」を重視するようになった。本書では、租税の世界における法的観点の重要性について、弁護士であり、国税不服審判所の審判官を務めた経験もある筆者が解説する。
主要目次
はしがき
序章 租税実務の「法化」─法律家の見方を租税実務に活かす
1 「法化」とは何か
2 租税実務の「法化」
⑴ 本格的な租税訴訟の増加
⑵ 課税当局の変化─法的観点の重視
⑶ 税理士と弁護士の協働の必要性
⑷ 租税実務における法的三段論法
⑸ 本書の特徴─判例・裁判例を中心とすること
コラム:判例・裁判例・裁決例
第一章 法的三段論法その1:租税法の解釈の基礎
1 租税法規の文理解釈の原則
2 文理解釈の原則の限界
3 通達の位置づけ
4 政令・省令の位置づけ
5 私法との関係①─借用概念の解釈
6 私法との関係②─課税は私法上の法律関係を前提としていること
第二章 法的三段論法その2:租税法における事実認定の勘所
1 事実認定とは何か
2 契約書の重要性─処分証書の法理
3 「黙示の合意」の認定─しっかりした契約書が無い場合
⑴ 親子会社間寄附金事件
⑵ 岡本倶楽部事件
⑶ まとめ
4 立証責任という考え方
5 事実認定における「法律家の良識」について
⑴ 自由心証主義と裁判官の良識
⑵ 最判平成30年7月17日裁判所ウェブサイト掲載
⑶ 最判平成31年4月9日裁判所ウェブサイト掲載
⑷ 二つの判決から読み取れるもの─良識に基づく司法判断
第三章 実践編〜法的三段論法のケース・スタディ
1 寄附金
2 交際費等
3 貸倒損失
4 組織再編成に係る行為計算否認規定
5 同族会社の行為計算否認規定
第四章 国際租税法─法律家目線で見たいくつかのポイント
1 移転価格税制─「比較可能性」の観点を中心に
⑴ 移転価格税制の専門性
⑵ 事例研究
① ディズニー英会話教材事件
② アドビ事件
③ ホンダ事件
⑶ まとめ
2 タックス・ヘイブン対策税制─適用除外要件とオーバー・インクルージョン
⑴ デンソー事件
⑵ 「国内的二重課税」事件─オーバー・インクルージョンの問題
⑶ まとめ
3 外国法に基づく組織再編成─日本の会社法・法人税法と外国法の交錯
4 海外での租税訴訟への対応
5 本章のまとめ
第五章 租税法と他の法分野とのクロスロード
1 憲法
2 民法
3 会社法
4 知的財産法
5 労働法
6 信託法
7 本章のまとめ
終章 結びに代えて─法律家の視点から見た租税実務のステップごとの留意点
1 日常の対応
2 税務調査対応
3 国税不服審判所
4 租税訴訟
5 租税法におけるルール・オブ・ローの進展を願って